2008年1月12日土曜日

オウム被害救済大幅減、自民PT案

オウム被害救済大幅減、25億→数億に 自民PT案

 (朝日)オウム真理教による一連の事件の被害者救済を目指す議員立法をめぐり、自民党の「犯罪被害者等基本計画の着実な推進を図るプロジェクトチーム(PT)」(早川忠孝座長)で検討されてきた法案の最終版の概要が明らかになった。16日に開かれるPTの会合で示される予定。被害者への給付額は、当初案の25億円から「数億円程度」に縮小され、国が賠償金を肩代わりする求償も形式的なものにとどまる見込みだ。

 これまでの議論に対し、被害者弁護団は「当初の理念と大きく違ってきている」と反発しており、早川座長に対して再考を求める意見書を11日、とりまとめた。立法化までには今後も複雑な経過が予想される。

 教団は今年3月に破産手続きが終結する見通しだが、被害者に対する未払いの賠償金が25億円にのぼるため、PTが昨年11月から救済の枠組み作りを検討していた。
 原案では、債権を届け出ていた被害者全員の25億円分を国が肩代わりした上で、教団側に求償するとしていたが、PTでは「一般犯罪の被害者との整合性が取れない」など批判が相次いだ。
 このため、最終案では、給付額について被害程度に応じて「相応の金額を定める」とし、死亡の場合、災害弔慰金を基準に500万円程度を支給する方向で検討。このほか、被害の程度に応じて支給すると、総額で数億円になる見込みだという。
 また、原案で明記されていた求償について、「可能な限り回収につとめる」とする「精神条項」にとどめられた。

 こうした議論に対し、地下鉄サリン事件で夫を亡くした高橋シズヱさんは「国が求償権を持たないと、教団を経済的に抑える足かせが外れることになり、恐怖を感じ続けなければならなくなる」、松本サリン事件被害者弁護団長の伊東良徳弁護士は「国が事件が起きてしまった責任を認めて教団に請求を続けるという、基本理念が変わってしまう」と懸念する。

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