2008年2月11日月曜日

元銀行員、長官との共犯否定 総連本部詐欺事件

元銀行員、元長官との共犯否定 総連本部詐欺事件

 (朝日)在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の土地と建物を朝鮮総連側からだまし取ったとして詐欺罪に問われた元信託銀行員の河江浩司被告(43)の初公判が8日、東京地裁(合田悦三裁判長)であった。河江被告は「土地建物をだまし取ろうと考えたことは一度もありません」と述べ、起訴事実を否認し、無罪を主張した。

 詐欺の共犯に問われている元公安調査庁長官で弁護士の緒方重威(しげたけ)被告(73)、不動産会社元社長の満井忠男被告(74)の2人は公判前整理手続き中で、別に審理される。河江被告は捜査段階で容疑を認め、検察側の立証の柱となっていた。無罪主張に転じたことで、緒方元長官らの公判にも影響を与えそうだ。

 起訴事実によると、河江被告は緒方元長官らと共謀し、中央本部の不動産の購入代金35億円を用意できる出資者が現れたように装って朝鮮総連側と売買契約を結び、昨年6月1日に不動産の所有権を緒方元長官側に移させだまし取ったとされる。3人のうち緒方元長官と満井元社長はこのほか、購入手続きに必要な資金だと偽って総連側から約4億8000万円をだまし取ったとされる詐欺罪でも起訴されている。

 冒頭陳述で検察側は、緒方元長官と満井元社長が01年に都内のビル売却にからんで約6億5000万円の報酬を受け取ったことなどから、「元長官が自己の経歴を利用して多額の利益が得られることに面白さを感じ、元社長のもうけ話に関与するようになった」と事件の背景を指摘。東京・六本木のビルの明け渡し交渉で3億円以上の資金が必要となったため、朝鮮総連側から資金や、転売利益が見込める不動産をだまし取ったと主張した。
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 緒方元長官と満井元社長に対する公判前整理手続きは昨年12月に始まった。関係者によると、争点を絞り込む手続きはほぼ月1回のペースで進んでおり、両被告の初公判は早くても春以降になる見通し。

 緒方元長官は昨年6月の逮捕以降、東京拘置所での勾留(こうりゅう)が続いている。弁護側は今月5日に4回目となる保釈請求を出したが、東京地裁は保釈を認めていない。
 弁護人によると、緒方元長官は検察側が開示した証拠を読み込み、自らの公判に備えているという。詐欺の認識については「結果的に河江被告にだまされたもので、朝鮮総連側をだます意思はなかった」と主張するとみられる。

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